軽く当主と話をした後、ボンヤリと窓によった。

窓には、白い羽のような雪が、いくつも降り始めていた。

姫佳は走って、屋敷の外の庭に向かった。

もう、アチコチで雪が積もり始めている。

姫佳はじっと空を見上げた。

「わたしなんて」

消えてなくなれば、いい。

空に向かって、ゆっくりと息を吐く。

ゾクッと寒さが体を突き抜けた。

「姫佳さん!探しましたよ!」

屋敷の中から、男性、邑理が走ってきた。

「あ……」

「寒いですよ、中に戻りましょう」

姫佳は、首を左右に振る。

「邑理さんこそ、風邪を引いてしまいます。わたしは大丈夫ですから、戻って下さい……」

邑理は悲しそうに目を細める。

「だめです。姫佳さんが戻らないのなら、わたしは戻りません」

邑理はそっと姫佳をを抱き締めた。

「こんなに体を冷やして。具合は大丈夫ですか?」

姫佳は、ズキンと頭が痛む。