~氷~

―――真っ暗闇は、イヤな事を思い出すんだよな…


この前の学校のこととか、母親のこととか…。


その時。
温かい手が私の掴んだ。
そのぬくもりで、その手の主が綺斗だとわかる。

「―――…綺斗?」
「ん?」
「…何でも無い。」


―――明かり点いてなくてよかったな。

そして、明かりが点くまでの時間、真っ赤になった顔を冷ましながら、綺斗の温かい手のぬくもりを感じていた。


そしてふと思う。

―――これから先、この手を離さなきゃならない時が来るのかな…?