「…話せなくて辛かったね。ありがとう、話してくれて」


ハルは優しく呟く。



「アキは会いたいんだね、その人にもう一度。…その気持ち大切にしなきゃね」


「…うん」


「会えるわよ、必ず。世界は思ってる程、広くも狭くもない。広くするのも狭くするのもその人の気持ちと行動。ただそれだけよ。
果てしないのは世界じゃない、心なの」



この時はハルの言っている意味が理解できないでいたアキ。


ただわかったのはハルの優しさ。


アキはこんなに自分を想ってくれている人を置いていく事に、少し後悔した。




「私とナツも長期休みがある時、イギリスに遊びに行くからね。…泣いてちゃ嫌よ?アキは笑ってる方が可愛いんだからね」



ハルはそう言って笑うとアキの頭をポンポンと叩いた。




「お姉ちゃん、ありがとう。頑張るよ」



アキはハルに笑顔を向けた。





「私の世界は見えてる物が全てで、ちっぽけなくせに広かった。
でも、あの人にまた会えたら世界が変わる気がするよ。壮大で色とりどりの世界に…。」



アキは部屋の窓際に立ち、空を眺めながら柔らかく微笑んでいた。






世界が変わる。

そんな未来に期待して…。