「これ…」



アキの手のひらには、有名なブランドの指輪が乗っていた。



アキは、『愛』を知らなかった彼の不器用だけど精一杯の愛情を感じた。

涙が止まらなかった。




「あぁ、やはり泣かせてしまいましたね」

「だってラヴが…幸せな事たくさんしてくれるから」



アキは顔をぐしゃぐしゃにしながら泣いた。




「笑って下さい、アキ。私はアキの涙が見たくて愛を伝えたのではないですよ?だから笑って下さい」



ラヴはアキの涙を優しく親指の腹で拭う。




「Aki,i love you…」



綺麗な発音で呟くラヴの顔を見ると、ラヴは今までにないほど穏やかな笑顔を浮かべていた。



いつも寂しそうな顔をしていた彼の心から笑った顔。

その笑顔は綺麗だった。




「アキ、私は施設を出ようと思ってます。本当ならばもう出ていなくてはならない歳です。それに、もう自立出来るくらい仕事もしています」



アキはラヴの話を真剣に聞いていた。




「私に…ついてきてくれますか?アキ」



ラヴの灰色の瞳は、まっすぐアキだけを見つめていた。