止まる事のない世界は沢山の命を生み、沢山の命を消していった。




そんな世界で

前世から繋がる運命は

今日も何処かで奇跡をもたらしている。





イギリスのとある白い建物の乳児・孤児院。


その庭の白いベンチに座り、『Dearest』という小説を読みながら眠る黒髪の男。



子ども達の声が響き渡る庭は、日差しが温かく気持ちが良い。




「おはよう、ラヴ」



声を掛けられた男は薄く目を開けると、1人の女性を灰色の瞳に映した。




「ここにいたのね」


「アキ、どうしましたか?」


「どうしましたじゃないわよ!ご飯の時間なのに戻ってこないから捜したんだからね!!子ども達もお腹空かせて待ってるよ」




女は顔を膨らませる。


男は優しく微笑みながら女が尖らせている唇にキスをした。



2人は手を繋ぎながら2人を待つ4人の子ども達の元へ向かった。



誰もいなくなった白いベンチの上には、先ほど男が読んでいた小説が風にページを捲られている。





繰り返す輪廻の果て、誰かが築きあげた絆は朽ちる事なく繋がり続ける。



例え前世の記憶は無くなっていたとしても

それは永遠に途切れる事はない。




「ねぇ、ラヴ。I LOVE YOUって言って?」

「愛してますよ」

「違う!英語で!!」

「何故英語がいいのですか?」



女は赤くなりながら呟いた。




「ラヴのI LOVE YOUはあたしの世界の全てだから」



女の言葉に優しく微笑みながら男は呟いた。




優しく微笑む男は紛れもなくあの時のラヴ。


そして悲しくなんかないのに、長い旅を終え、再び2人の元へ帰ってきた愛に涙が止まらない女はアキ。




長い時間を経て受け継がれる

2人を繋ぐ言葉…





「Aki,i love you.

My Dearest…」





























【Dearest・END】