「いきなりごめんなさい。…じゃあ、あたし部屋に戻るね」



アキがそう言い、部屋を出ようとするとラヴが何かを呟いた。




「…I love you」

「えっ?何?」

「I love you…」

「何?役の練習?」



ラヴは首を横に振る。





「I love you……I love you…」



ラヴはそう呟きながらアキに近付き、アキの前に立つ。




「ラヴ?」


「…愛してます。出会った時からアキを」



ラヴのその言葉にアキは大粒の涙を流す。




「ああっ!泣かないで下さい。…すみません、嫌でしたか?」

「違うよ。嬉しいから…泣くんだよ?」

「嬉しい時も泣くんですか?アキは忙しいですね」



ラヴはそう言って笑うと、慣れない手つきでアキを抱き締めた。




“女性”を抱き締めた事は俳優になってから数え切れない程ある。


でも“愛する人”を抱き締めるのは初めてのラヴは、柄にもなく緊張していた。