「男として逃げ出す事は出来ませんよ。あなたにカッコ悪い所は見せられません」


「女を1人にして悲しませる男の方がカッコ悪いよ!あたしはただラヴがいてくれれば、それでいい」



アキは震える手を握り締めながらラヴに叫ぶ。



ラヴは辛そうな表情でアキを見ると、アキを抱き上げ馬に乗せた。



「…そんな可愛い事言わないで下さい。こんなアキを見たら私はもう、あなたをさらわなければなりません。…来世の私にさえ返したくなくなります」



ラヴはアキを乗せたまま馬を走らせた。




「危険が伴いますが行きましょう。幸せになれる場所に」

「うん、大丈夫よ。あなたはどんな時も1人じゃない。いつの時代もあたしがいるから」



アキは先程見た夢の方が恐かった。


ラヴのいない世界にいるくらいなら、危険が伴っていてもラヴといられる世界がよかった。

それでよかった。






暫く馬を走らせていると、後ろから追っ手がやってきているのにアキが気付く。



「ラヴ!後ろに…」


「あぁ、援軍ですね。国を裏切った私を始末しに来たのでしょう」