「私はレオンみたいな性格になりたかったです」



キズナがボソッと呟くとアシュリーはむせった。




「やめとけ、レオンなんて。確かにあいつは悩みなんかすぐ忘れちまうお気楽な性格してっけど、ただのたらしだし、腹黒いぞ?俺は勘弁だな」


「あはは!確かにそうですね。…でもあの明るさが羨ましいです。友達も多いし」


「まぁ、バカだから馴染みやすいんだろうな。でもレオンはレオンだ。そしてお前はお前だ。もっと自分に自信を持て。お前は誰とも比べものにならないいい所をたくさん持ってるんだから」



アシュリーの言葉はただの慰めではなく、適当でもない。


強く、そして優しく的確な所をつく。




キズナはそれが気持ち良かった。





「アシュリーがお兄ちゃんでよかった。アシュリーがいてくれて嬉しいです」



キズナが満面の笑みをアシュリーに向けると、アシュリーも柔らかく微笑んだ。





それからキズナは閉ざしていた心を少しずつ開き始め、周りに僻まれる事もなくなっていった。




その様子を1番喜んでいたのは他でもない、アシュリーだった。




アシュリーは手の掛かる子どもを見守る父親のようになっていた。



それが自分の幸せとなっている事を、もう痛い程理解しているアシュリーだった。