ラヴが指定されたホテルに行くと、あの女優1人しかいなかった。




「…騙したのですか?」

「違うわよ。みんな他の撮影があるんだって。そんなに私と2人は嫌?」

「あなたが嫌なわけじゃないですよ。女性が苦手なだけです」



ラヴがそう言うと、女優は笑いながらラヴにシャンパンの入ったグラスを差し出した。




「ラヴは本当に紳士ね。あなたに愛される女が羨ましいわ」

「そんな女性はいません」



ふとラヴがシャンパンを飲むと、体が一瞬で熱くなった。


なんだ…
この感じ。




「ごめんなさいね。ラヴ。こんな手を使ってでもあなたを手に入れたかったの」

「…っ…何か入れたんですか?」

「媚薬よ。あなたはもう理性が効かないはず。さぁ…私を抱きなさい」



女性は恐い。

こんな事をしてまで1人の人間を独占したいのか。



ラヴにはわからなかった。




ラヴは上に跨る女優を押しのけて、服を直し部屋を出ようとした。




「ラヴ!!なんでなの!?」

「…はぁ…私は…好きでもない女性とは、何があっても体を重ねません。…ですから媚薬などは効きません。では…」

「あなたおかしいわよ…本当に人間!?」




そうですね。

私は人間ではないのかもしれません。



でも何と言われようと、私は愛する人以外は抱きません。


…そんな人、出来るかわかりませんけどね。




ラヴは苦笑いするとホテルを後にした。