「…ハァハァ…っラヴ?」



息を整えながら浜辺を歩くと、波打ち際で呆然と立ち尽くすラヴがいた。




「ラヴ、どうしたの?なんで泣いてるの?」



アキがラヴの顔を覗くとラヴはアキを抱きしめた。




「ラヴ?……愛されてたって知って嬉しくないの?」


「…嬉しくないです。愛してくれていたのなら…捨てないで欲しかった。…どんな理由があったのだとしても…見捨てないで欲しかっ…た」



ラヴはアキの首元に顔を埋めると声を漏らして泣いた。




「…ラヴ。でもね、あなたを捨てた行為も母親の愛情かもしれない。あなたに悲惨でひもじい想いをさせたくなかったのかもしれない。…誰かきちんとした暮らしを与えて、愛してくれる人に育てて欲しかったのかもしれない」



アキはラヴを強く抱きしめ返しながら言葉を紡ぐ。




「それにラヴが捨てられなかったら…あたし達は出会えていなかった。…ラヴだって前に捨てられてよかったって、だからあたしと会えたんだって言ってくれたじゃない」




2人を波の音が包み込む。