人を拒み続けた彼はいつしか孤独を愛する子と言われるようになった。



孤独が好きな人間などいるはずがない。


しかし彼はそれを受け入れた。




愛される事には慣れてないが、愛されない事には慣れてしまっていたから辛くはなかった。





「ラヴ、私の娘と息子達は生まれてすぐに日本の祖母に預けたの。きっと寂しい想いをしてるわ。だからこっちに遊びに来た時は仲良くしてやってね」


「Mrs.桜井。私は人と仲良くする事など出来ません」


「大丈夫よ。あなたが心を開けば誰とでも仲良く出来る。あなたは本当は優しい子なんですから」




Mrs.桜井は知っていた。



小さい子どもが読めないと泣いていた本に訳を書いてあげていたり


泣いている子どもをあやしてあげているラヴを。





彼が人を拒むのは彼が冷たい人間だからではない。


愛情を知らない彼は誰かを愛し、愛される事が恐いのだ。