でも彼にはわからなかった。



愛されない存在の自分が何故“愛”と同じ意味の名前をつけてもらえたのかが。



子どもにしては察しが良く、頭もいい彼は


自分には普通でいう親がいない事

そして自分が捨てられた子どもだという事をわかっていた。




そしてそれを知った上で彼は、独りで生きていくと決めていた。




誰も愛さない。
誰もいらない。



愛されたいという気持ちを抑え込み、孤独を受け入れていたのだった。





「私には愛情なんて不必要です。そんなもの邪魔なだけです」



人と関わる事もなく、一匹狼だけれど顔が整っている彼は、施設の女の子によく告白をされていた。



しかし、その告白をいつも冷たく断っていた。