季節は移ろいでいく。


時間を止めずに
誰かを待つ事もなく足早に。




今まで過ぎていく日々をこんな風に想う事があっただろうか。



アキは変わりゆく毎日を、そう想いながら過ごすようになっていた。




子ども達は大学を卒業し、それぞれの道を歩くようになっていた。



アシュリーは俳優として、サミュエルはメジャーデビューしたバンドの一員として、レオンはプロサッカー選手として毎日頑張っている。



それぞれ仕事を始め、忙しい日々を送る子ども達は、あまり家に帰ってこなくなった。



でもそのおかげで、アキは1人でいる寂しさに慣れるようになってきた。




もしかしたらそれは、子ども達の気遣いなのかもしれない。



アキの事はとても理解している子ども達だから。



その事にアキも気付いていた。




「あの子達は本当に優しいんだから…」



アキは微笑みながら、リビングのソファに1人で座っていた。