「ごめんね。あたしだって反抗期があったのに、その気持ちを理解してあげられなかった」


「…なんでだよ。なんでアキが謝るの?俺、アキのこと殴ったんだよ?」


「あれはあたしが勝手に…」



レオンは今にも泣きそうな顔をしながら、湿布が貼られたアキの頬を撫でた。


「ごめんね…痛かったよね。…アシュリーやサミュエルは反抗期なんかないのに…なんで俺はこんなんなんだろう」


俯くレオンを見たアキは微笑むと、頬を撫でているレオンの手に自分の手を添えた。



「手の掛かる子ほど可愛いって言うでしょ。だから大丈夫よ」



朝日が昇るまで2人はその場に立っていた。




家に帰るとラヴ達がリビングでレオンを待っていた。


「おかえり、レオン」


サミュエルはレオンに駆け寄る。


アシュリーは背を向けてソファに座りながら、ヒラヒラと手を振っていた。



「…レオン。私にも反抗期がありました。悶々とした感情がもどかしい時期でしたよ。ただ人にあたってはいけません」


「うん。わかったよ、ラヴ。ごめんなさい」


「いえ、怒ってはいませんよ。あなたも苦しかったでしょう」



ラヴはレオンの頭をくしゃっと撫でる。

レオンは何だか恥ずかしくなってそのまま部屋へと駆けていった。



「やっぱり男の子の事は父親の方がわかるんだね」

「そうですね。でも彼に反抗期を教え、我に返したのはアキですよ」



ラヴはアキの頬を優しく撫でると微笑んだ。