「ラヴ…僕はどうして捨てられたの?」


「…完璧な人間ばかりではないからです。私も捨てられた子どもなので親を知りません。だから捨てる気持ちはわかりません」


「僕はお母さんが欲しい…」



僕の無謀な話をラヴは飽きずに聞いてくれていた。




「私はたまに頭に流れてくる映像があるんです。捨てられた時の事みたいで、波の穏やかな音と女の人の泣き声が聞こえるんですよ。…その泣いている女性が母親で、私を捨てたくて捨てたのではなく、理由があってやむを得ず捨てたのかと勝手ながら思っています」




ラヴは切ない表情で呟いていた。




「だからサミュエルも捨てたくて捨てられたのではないのかもしれませんよ」



ラヴの言葉は優しくて、僕はそう信じようと思った。



きっとラヴが僕を救ってくれる。



いつしかラヴはヒーローのような存在になっていた。