施設の友達といても、つまらなかった。



みんなは自分が孤児だとわかっていながら毎日楽しそうだった。



僕はそんな風に割り切れなくて、顔すらわからない母親を捜すのに必死になっていた。




捨てられたなんて思いたくなくて、何か理由があったのではないかって勝手に思い込んでいた。




望まれなかった子どもで片付けられるのは辛すぎるから…



「サミュエル、どうしたのですか?」



僕が施設の隅で泣いていると、必ずといっていい程ラヴが来てくれる。




「うぅっ…うぇぇ…」

「寂しいのですか?」



何も答えないで泣いていると、ラヴはいつも抱っこをしてくれる。


僕はそれが嬉しかった。




変な歌詞の下手くそな歌を歌いながら、僕が泣き止むまで抱き続けてくれるラヴを、僕はいつしか“お父さん”という目で見るようになっていた。