「やっと…会えた…」

「はい、やっとまた会えましたね」



私は奇跡だと思った。


想い描いていたレディがまた目の前に現れた事を。




あぁ、やはり愛しい。

この気持ちは何なのか。





そのレディことアキが桜井先生の娘である事がわかって驚いたけど、全身から放たれている優しさは先生と確かに似ていた。




人との接し方すらわからなかった私は、アキに冷たいと思われる態度をとっていたかもしれない。


でもアキは、いつも私のそばにいてくれた。




アキといる時は柄にもなく笑顔になっている自分がいた。


この気持ちが何なのかはわからないままだったけど。





だけど私は1人の男というより1人の人間でもなかった。


周りから見たら冷酷な人間だっただろう。




アキと出会う前はもっと冷酷な人間だったと思う。



私は小さい頃から女性によく言い寄られていた。


子ども離れした性格に興味でも湧くのだろうか。




私が俳優として少しずつ世間に名を馳せていた頃、気付くと前にも増して女性に言い寄られるようになっていた。



女性をむやみに傷つけるつもりはない。


しかし私は、年頃の男なのに女性というものに興味がなかった。



女性というよりも、他人に興味がなかったのだろう。





仕事以外では人と関わりたくなかった。



しかし、施設に戻っても最近は職員ですら言い寄るようになっていた。


私の気が休まる場所がなかった。