ホワイトガーデンに住んで20年が経った。


私は愛情を知らないまま大きくなってしまった。




そう、俳優になった今でも愛情という感情だけはわからなかった。




この世界は残酷で不公平だ。


街を歩くと家族で散歩している人とたくさんすれ違う。




私とあの人達は何が違うのだろうか…。

何故私は愛されなかったのだろうか…。




渦巻く気持ちで気持ち悪くなった時、薄暗い路上から小さな女性の悲鳴が聞こえた。


近付くと男が2人、女性を押し倒していた。



何故こんな腐った奴らには両親がいて愛されて、私は愛されないのか。




そんな苛立ちをぶつけるかのように、私は男達を殴り続けた。


去っていく男達を見送った後、襲われていた女性を見ると体を小刻みに震わせていた。




見た感じジャパニーズかチャイニーズのアジア系の女性。

話し掛けても返事がない。




「嫌っ!来ないで!!」



あぁ、英語がわからなかったんですね。


容姿も言葉もジャパニーズの女性に、優しく声を掛けた。



その女性は涙をいっぱい流して大声で泣き始めた。




あぁ…

私もこうやって泣けばよかったのかな。



寂しいって
愛されたいって


叫びながら泣いたら、誰かに愛してもらえたのかな。




だって今、子どものように泣いているこのレディがこんなにも愛しい。