「…ここは俺らが誕生日の時だけ連れてきてもらえたおもちゃ屋だったんだ」


「おもちゃ屋?」


「そう、子どもの俺らにとって年に1度の最高の日だったんだよ。好きなおもちゃを買ってもらえて夢のように幸せだった。…思い出の場所だったんだ」



レオンの言葉にアキは胸が締め付けられた。




「…呆気なく変わってしまうんですね。時間と共に人も街も」



ただ呆然と空き家になったおもちゃ屋の前で立ちすくむ5人。


そのまま無言で街を歩いてた。




すっかり元気をなくしてしまった子ども達をラヴとアキは見つめていた。



ホワイトガーデンに帰ってきた5人。


子ども達は無言のまま部屋に戻っていった。




そんな子ども達を気にしながらアキは母を見つけると、母に駆け寄った。




「お母さん、今は子ども達のプレゼントどこで買ってるの?」

「何よ、いきなり」

「今街に行ったら、レオン達がおもちゃ屋閉まってるのにショック受けちゃって」

「ああ、あそこのおもちゃ屋さんね。ショック受ける子多かったわよ」



母は話を続ける。




「今はネットショッピングで子ども達が欲しがっているおもちゃを買ってるわ。便利な世の中よね」


「…そっか。便利になると誰かの思い出だった物が消えちゃうんだね。…なんだか複雑」



アキが俯きながら庭へと向かうとベンチにラヴが座っていた。




「ラヴ、ここにいたんだ」



アキはラヴの隣に座る。