アキが泣き止んだのに気付くと、ラヴはアキの左手に指輪をはめる。




「もう取ったりしたらダメですよ?」



ラヴがそう言うとアキは頷く。




「…ラヴ、あたし強くなるよ。何があってもラヴを好きな気持ちが揺るぐ事のないように」


「大丈夫ですよ。アキは今のままで。またアキがいなくなっても何度でも捜しますから」



ラヴはアキの手を引き、ホワイトガーデンに戻ると園庭へとやって来た。


2人はベンチに座る。





「私は孤児でよかったと今は思っています。ホワイトガーデンで育った事を誇りに思います。…アシュリー達もそう思ってますよ」


「なんで?やっぱり家族といたかったって思わないの?」


「孤児だったから、ここで育ったから、アキと出会えたんです。…今は私を捨てた親に感謝しています」



ラヴは空を見上げた。

アキもつられて空を見上げる。




「それに今の私にはもう、かけがえのない家族がいますから」


「…きっとあたし達は、家族になるべくして生まれてきたんだよね。だからきっと何処にいたって出会えてたはずだよ」


「はい、そうですね」




ラヴとアキが手を繋いだまま見上げた空は、真っ青な青が突き抜けていて、とても綺麗だった。




2人が家に帰ると、心配していた子ども達がアキに駆け寄った。



「もういなくならないでよね、アキ。寂しいじゃんか」

「家出癖直せよな!…心配するだろ?」

「母さん、おかえりなさい。待ってましたよ」



子ども達の言葉に泣きそうになったアキは、自分の居場所を再確認し、もうなにも迷わないと心に決めた。







「朝よ―!起きなさ―い!!」



いつものようにアキの声と焦げたパンの匂いが広がる朝。



ラヴと子ども達は幸せを感じながら目を覚ました。






幸せな家族の毎日も

あと、もう少し。