その頃、アキはイギリスに来ていた。


ホワイトガーデンに着くと、いつものように母が迎えてくれた。




「どうしたのよ、いきなり。ラヴと喧嘩でもしたの?」

「…うん。まぁそんなとこかな」

「仕方ないわね、気が済むまでいていいから元気出しなさいよ?」



母はアキの肩をポンと叩くとアキを部屋に案内する。


アキは居間で遊ぶ子ども達を見つめていた。




「アシュリー達ももう大きくなったんでしょうね。ラヴが引き取るって言い出した時は驚いたけど、ラヴなら安心して任せられたわ。たまには遊びに連れてきなさいよ」



母はお茶を淹れながら話す。


アキはただボッと窓の外を眺めていた。




「じゃあ私は仕事に戻るから、ゆっくりしてなさい」



母はそう言うと部屋を出て行った。


1人になった部屋でアキはラヴの事だけを考えていた。




気晴らしにアキが施設内を歩いていると、広場に散らかっている絵本を見つけた。


その絵本はまだホワイトガーデンにいた頃にラヴが読んだ絵本。

アキはパラパラと絵本をめくる。




「…読めないよ、ラヴ。…ラヴ」



アキは絵本を抱きしめた。