盛り上がりがピークに達した頃、最後の曲の時間になった。


サミュエルがマイクを持ち、話し始める。




「インディーズ最後のライブに来てくれて有難う御座います。最後の曲は僕が作詞作曲した曲です。この曲は、僕に初めて愛を教えてくれた女性の為に書きました。これがメジャーデビュー曲になります。どうか聞いて下さい」



サミュエルがそう言うと、ライトがサミュエルだけを照らす。


サミュエルは歌い始めた。







ずっと独りだったんだ

生まれた時から孤独だったんだ

だけど僕に家族を作ってくれた
これが家族なんだと教えてくれた

何の見返りも求めないで愛情を注いでくれた

僕は何か返してあげられてるかな?


君が望むならずっとそばにいるよ
僕はどこにも行かない。


だって僕は誰よりも
君を愛しているから。


例えばもし、離れてしまっても
必ず会いに行くよ。



だから君はハンバーグを作って待っていて。

もちろんいつもの焦げたやつを





サミュエルの歌声はとても優しくて観客は皆、涙を流していた。



アキは、涙を流しながらサミュエルが言った


『デビュー曲は母さんの為に書きます』


という言葉を思い出していた。




「アキ、サミュエルの気持ちがわかりましたね」



ラヴはアキに囁いた。




「うん。あたし凄く幸せだよ」




4人は手を繋ぎながら、ステージで輝くサミュエルを優しい眼差しで見つめていた。