アキはソファに座って編み物をしていた。


そのアキの隣りでアシュリーは毛玉をレオンに投げて遊んでいる。




「ちょっと、アシュリー!猫みたく毛糸にじゃれないの!!絡まっちゃうじゃない」


「てか、何でいきなり編み物なんか始めたんだよ。不器用なアキの柄でもねぇ」


「うーん…。内緒」




笑いながら編み物を続けるアキを見ながらアシュリーは首を傾げ、コーヒーを啜る。




「赤ちゃんでも出来た―?」



いきなりレオンがそう言うと、アシュリーはコーヒーを吹き出した。




「ぎゃあ―!汚い!!俺にかかったじゃん」

「げほっ…このバカ野郎!!お前が変な事言うからだろうが!!」

「だって赤ちゃん出来るとさ、靴下とか編む人いるじゃん」



レオンは顔を拭きながら呟く。


アシュリーはすかさずアキの顔を見る。




「えっ?何!?赤ちゃん出来てないよ」

「じゃあさ、誰に編んでるの?」

「だから内緒だってば。それよりレオン、着替えてきなさい。コーヒーは染みになるよ」

「はーいよっ♪」



レオンは着替えに向かった。


その間もアキは黙々と編み物を続けている。




「おい」

「はい?」

「ほつれてるぞ」



アシュリーはアキが編んでいる物の一カ所を指差す。



そこは小さく穴が開いていた。




「あーっ!……まぁいいや。これアシュリーのね」

「俺の!?」

「あっ!何でもない!!」



アキはアシュリーから顔を反らして編み物を続けた。



なんで俺のなんだ、しかも失敗したやつかよ!と思いつつも、アシュリーは少し微笑んでいた。