「ハンナさん?」



ドアの前にはナイフを持ったハンナが立っていた。




「Missハンナ、何をしてるんですか?」

「ラヴは私のものよ!そんな貧相な女、ラヴには似合わないわ!!」



ハンナはナイフをちらつかせながらアキを睨む。


今目の前にいるハンナは、レストランで会ったハンナとはまるで別人。




「ナイフを下ろして下さい。ハンナ」

「嫌よ!ラヴがその女と別れないのなら刺すわよ!!私は本気よ!!」



ナイフを持ったハンナはアキに向かって走ってくる。




「やめなさい!!ハンナ!!」



ラヴがハンナを止めようとアキの前に立った時、ラヴの腹にナイフが刺さった。




「…ッ…!!」

「…ラ…ヴ?」



ラヴの服は血が滲み、ナイフを伝って血が床に落ちた。


ラヴはその場に崩れ落ちる。




「ラヴ…あなたがいけないのよ。こんなに愛してるのに…そんな女を選ぶからっ!!」

「ぐっ……!!」



ハンナは泣き叫びながらラヴに刺さったままのナイフを抜く。


彼女の目は正常じゃなかった。




「あなたを殺して私のものにするわ!!」



ハンナはそう言うと、虚ろな目でナイフを振り上げた。