「あ?何やってんだよ、アキ」

「ラヴ、嫌…」



アキがそう呟くと、ラヴはあからさまにへこむ。




「ラヴ、アキはあのハンナって女優とラヴがこのホテルに入ったの見て、不安になってたんだよ」


「仕事の打ち合わせで来ただけです。他のキャストやスタッフも大勢いますよ」


「ほら、俺の言ったとおりだろ?」



それでもアキはアシュリーの後ろから出てこようとしない。


アシュリーはため息をつきながら、再び話し始めた。




「ったく…。他の女に笑いかけてんのも嫌だったんだってよ」

「…アキ、あなたに向ける笑顔と他の人に向ける笑顔は違います」



ラヴはアシュリーの後ろに隠れているアキに近づくと、アキを抱き上げた。


アシュリーは柄にもなく気を使い、トイレへと向かった。




「本当にヤキモチ妬きですね、アキは」

「ラヴがいけないんだ…」

「すみません。アキが人一倍ヤキモチ妬きだというのを知っていながら…」




ラヴがシュンとした顔をしながらアキを降ろした瞬間、ドアが勢いよく開く音がした。