がさがさと音がして、女の子と男の人の姿が見えた。
でも、おかしい。
二人とも、着ている服が着物なの。
それも、神社の宮司さんや巫女さんが着ている様な、着物。
男の人なんか、頭に黒い帽子かぶっちゃってさ。
へんなの。
「わあ、よかった、気がつかれたのね。」
と女の子が私に駆け寄ろうとすると、
「由良、待ちなさい。」
と男の人がぴしりと止めた。
とても怖い顔をしている。
どうやら、女の子は逆らえないようで、男の人の後ろに隠れてしまった。
男の人が近づいてきて、言った。
「女、名前は言えるのか?」
わたしは頑張って、自分の名前を言おうとした。
「わ、私は和泉 佳乃。」
すると、男の人は私の体を起こしてくれたけれど、とても痛い。
苦しくて顔を歪ませると、すぐ近くに彼の顔があった。
顔をあおくして、私の背中あたりを凝視している。
「物の怪は赤い血は流さぬ。太刀傷でもなさそうだが、和泉と申したな、何用でこの屋敷おられる。」
どうやら、私は背中を怪我しているらしい、たとえようのない痛みが襲ってくる。
「た、助けて・・・」
そう言ったのを最後にまた私は、気を失ってしまった。