聞くなら全部聞かないと、スッキリしない。


「・・・・・・社長の子を、妊娠したの」

「―――ブッ!」


口に含んだコーヒーを、吹き出してしまった。

ポタポタと、コーヒーがテーブルに垂れる。


「・・・・・・汚い」

「ごめん・・・・・・」


ティッシュで手早く拭いて、彩子はとりあえず落ち着く。

少々、いやかなり、想像していたものと違う。

付き合ってるの、くらいは想像してた。

でも、妊娠なんて―――。


「それで、社長に結婚を申し込まれたの。ついさっき」

「・・・・・・」

「驚かないの?」


先程とは打って変わり、冷静な様子でコーヒーを飲む彩子。

真緒が窺うように、彩子を見つめる。


「驚いてるわよ。驚きすぎて、反応に困るくらい」


彩子はため息をつき、真緒をジッと見据えた。


「詳しいことは、まぁ聞かないけど・・・・・・。産むの?」