その姿を、複雑な気持ちで見送る真緒。


「・・・・・・。さ、帰りましょ。送ってくれる、って言うし」


状況は未だ理解できないが、真緒を気遣い今ここで問うのはやめておこう。


「うん。・・・・・・よろしくお願いします」


一臣に頭を下げて、真緒は彩子と共にマンションを後にした。










自宅に帰って来て、ようやく肩から力が抜ける。

彩子は心配だから、と自宅までついて来てくれた。


「コーヒーか何か、飲む?」

「お気遣いなく。・・・・・・聞いてもいい?」


床に腰を下ろし、彩子は真剣な声で問い掛ける。

聞きたいのは、言うまでもない。


「いろいろ聞きたいことはあるんだけど・・・・・・」

「いいよ」


真緒はコーヒーを渡し、テーブルを挟んで向かい側に座る。


「社長と、何かあったの?」


漠然とした質問だが、これで良いと彩子は思う。

社長の部屋に何故いたのか、と問うても全体像は見えてこないと思うから。