「お連れします。香坂さんの元まで。それならば、安心でしょう?」


教えても良いのか、まだ悩んでいるが、少なくとも彼女の真緒を心配する気持ちは本物だ。

一臣は一礼すると、その場から立ち去った。


「真緒の居るとこって・・・・・・」


解決されない疑問ばかりが残って、ハッキリしない。

一臣が見えなくなると、彩子は肩から力を抜き、深いため息をついた。










柔らかなシーツと、フカフカのベッド。

寝心地が良くて、起きたくなくなる。


「・・・・・・?」


重い瞼をゆっくりと開けて、視界に映ったのは見覚えのない部屋。

黒で統一された部屋はシンプルだが、決して殺風景ではない。


「ここ、どこ?」


明らかに会社ではないし、自分の部屋でもない。


「なんだか、体が楽・・・・・・?」


頭の痛みもないし、体の怠さも幾分か軽くなっている。


「確か、資料室に行って―――」