外に出ると予想以上に寒かった。



「さむー」
『さむっ』



言葉がシンクロした。
こんな些細なことで
幸せを感じる




陽は左手をわたしの前で
ひらひらさせる。



わたしはその手を握る



陽は指を絡ませる



左手をひらひらさせるのは
私たちの

"手、繋ご?"

の合図。



今は自然に手を繋げるようになったけど
付き合った当時は…





陽が手をひらひらさせる

わたしはどうしたらいいのかわからなくて

陽を見つめた

そしたら陽は

どうしたらいいのかわからない
迷子のわたしの手を
そっと握ってくれた







そんなことを思い出していると

陽が



『何、考えてるの?』



なんて言うから



「なんでもなーい」



って言うと



『ふーん、俺には言えないことなんだ?』



って問い詰めるから



「付き合ったばかりのときのこと思い出してた。
あの頃は自然に手を繋げなかったなーって!
慣れた今はできるけど!」



『覚えてたんだ。俺も忘れるわけないけどね。顔真っ赤にして…、可愛いかったなあ』



「…なっ…」



『手を繋げるようになったわけだし、そろそろ次の段階いってみよっか?』



甘い声で陽が
耳元で囁く



それだけで心臓の鼓動が速くなる



恥ずかしくて
陽の顔を見れない…



そしたら陽が



『みお、こっち見て?』



仕方なく陽のほうを向く







「…んっ、」







いきなり過ぎて
頭の中は真っ白





唇が離される




だけど
鼻と鼻が触れるか触れないかの距離で…



陽は
いたずらに笑って



『ははっ、みお 顔赤いよ?』



「もうっ!陽のせいだもん!不意打ちなんてずるい…」



『じゃーあ、不意打ちじゃないならいいんだ?』



「そういうわけじゃ」



言い終わる前に





また
唇を奪われた





今度は長い長いキス





息が苦しくなって
酸素を求めて口を少し開いたとき



すかさず
陽の舌が入ってきた



わたしの舌に絡ませる



口内が陽でいっぱいになる


甘くて



愛しくて



陽のことしか考えられなくなる







『…みお、可愛い』





恥ずかしくて何も言えない




『行こ』




手を引かれて
また歩き出す