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「ピンポーン」


「……はい。」


「お待たせしました、旦那様があちらでお待ちになってます。」


「……わかりました。」


家に鍵をかけて、ベンツに近づいた。


高級感溢れる存在感に、内心ドキドキした。


こんな庶民の私が、高級車を乗れるなんて人生に1度もないと思っていたから、


「…こんにちわ、姫奈さん、」


渋めのスーツの着こなしは見事で、只ならぬ存在感を表している。


「…こんにちわ、」


ぺこりと会釈をして、椅子に腰かけた。


車は音もなく、静かに動き始めた。