「こんなもん、まらまら序の口らろぉ」

もう酔拳すらまともに使えそうにないほどの泥酔状態で、尚も龍娘がグラスに酒を注ぐ。

アイルランド原産のノッキーン・ポチーン。

アルコール度数90度。

もうそろそろ火がつきそうだ。

「90度なんれぇ、水みたいなもんよねぇ」

虚勢を張る冬だが、グラスを持つ手がプルプル震えている。

アル中か?

「そ、そうそう、水らよ水ぅ、にゃはははは…」

銀のニャハハ笑いにも、やや翳りが見え始めた。

「やはり男ならば、酒は90度以下など飲んじゃらめらろっ!」

龍娘にここまで言われては後に引けない。

負けず嫌いな三人は、グラスを一気に飲み干す。