しかし、敢えてその話は出さないように。

折角幸せな気分なのに、不幸話を穿り返してしょげる事もあるまい。

「去年のクリスマステロのチラシ、一体誰が作ったのかな?」

「学校の職員室のコピー機使っていたらしいですから、誰にでも作れますからね」

そんなどうでもいい推理ごっこを始めてみたり。

「犯行のチャンスは皆にあったって事ね」

「ロシアのエージェントとしての見解はどうなんです?」

「んー、こういうのを企みそうなのは、賑やかな事好きな雛菊ちゃんのような気がするんだけどなぁ」

「不幸福姉妹の二人も悪戯得意ですからね」

昨年の破局騒ぎで一枚噛んでいた同級生の幸多 万里(こうだ ばんり)、千歳(ちとせ)姉妹の名を挙げる啓太。