「ゴホン」

わざとらしく一回咳払いして。

「大体の事情は察した…で…落とし主は誰か見当は付いているのか?」

「それが…」

ウェスタの問いかけに拓斗は表情を曇らせる。

落とし物が落とし物だ。

『これは貴女のですか?』と訊いて回る訳にもいかないし、そんな事をしたら完璧にセクハラだ。

「そうだろうな…橘も真面目な性格だ。このようなものの持ち主探しは難儀だろう」

同情するウェスタ。

「このようなものって、どのようなものぉ?」

話を掻き回すアクエリス。

「後で飴をやるから大人しくしていてくれ、アクエリス…」