次々と弾かれていく触手。

小岩井のような結界や、アルベルトのような魔眼を持っていない。

普通の人間に過ぎない龍娘が、よもやこれほどの力を発揮するとは。

「武闘派教師陣筆頭を嘗めるな。怪異か悪霊か知らんが、端からそんなものに頼る軟弱者に私は倒せん」

鍛え上げた身一つで数々の戦いに勝利してきた龍娘が言う。

これが天神学園の武闘派教師陣の力。

人間だからとか、怪異だからとか、そんな事は関係ない。

鍛え上げた努力の成果がものを言う。

その点では、怪異を憑依させただけで何の努力もしていない誠一郎に勝ち目はない。

…長年蓄積させ、心の奥底に沈殿させ続けた憎悪がなければ。