直撃の瞬間に轟くであろう打撃音、或いは斬撃音が、聞こえなかった。

「え…」

目を丸くするメル。

代わりにその赤い瞳に映ったのは、右手一本で巨人斬りを受け止める銀の姿。

…衝撃波のせいだろうか。

彼の右半身を縛っていた封印の鎖は千切れ飛んでいた。

そして巨人斬りを受け止める右掌に、小さな黒い球が発生している。

銀曰くの暗黒物質。

「やっぱり…」

銀は巨人斬りを間近で見ながら言う。

「この戦斧は魂食らい(ソウルイーター)なんだね…禁書と同じ…」