両断などというものではない。

あんな巨大な戦斧の直撃、肉体が叩き潰されてしまう。

あとに残るのは、蛙の轢死体のような無惨な銀の姿のみ。

誰もがそう思ったに違いない。

…だが、同じリング上にいた寒緋は見た。

巨人斬り直撃の瞬間、銀が無念の表情を浮かべたのを。

それは『回避できなかった』という意味の無念さではなかった。

『本気で禁書を使わざるを得ない』

そういう意味での無念さだった。