「それっ」

また柄を蹴り上げて振り上げ、メルは渾身の力を込めて巨人斬りを振り下ろす!

発生する衝撃波。

リングを覆っている結界が遂に破れた。

「くっ…」

慌てて小岩井らが新しい結界を張るが、これも長くはもたないだろう。

最悪なのはリング上の銀や寒緋だ。

「うぐ…」

片膝をつく銀。

右半身を拘束している白銀の鎖が軋む。

衝撃波だけで今にも切れそうだ。

「メ、メル…審判権限で試合を止めるぞ…やめないか」

息を乱しながら寒緋が言うが。

「そんな事をしたら…」

狂気に満ちた赤い瞳で、メルが寒緋を見る。

「手元が狂って寒緋先生に巨人斬りを振り下ろしちゃうかもです…」