空間の歪みの中に右手を差し込むメル。

「よいしょ…と…」

彼女は重そうにそれを引きずり出した。

空間に生じた小さな穴の大きさからは考えられないほどに、それは大きかった。

柄だけでも2メートル近い長さ、刃の大きさも含めれば5メートルはあろうか。

両刃、ギザギザの鋸のような分厚い刃の戦斧。

先端には鋭い棘のついた拳大の鉄球がついている。

両手持ちで使用する大斧に種別される武器だが、その巨大なサイズは戦斧としても常軌を逸している。

「巨人斬り(タイタンスレイヤー)と申します…私の一番のお気に入りです」

メルはその大斧を携え、可憐な笑みを浮かべた。