デッキブラシを取り落とす。

ボタボタとマットに零れ落ちる鮮血。

次いでガクリと膝から崩れ落ちるユーリー。

その様子を。

「……」

メルは苦々しく見つめていた。

「いつ振りでしょうね…武器庫から『盾』を取り出すのは…」

彼女は武器しか召喚しない。

だからこそ『千の武器を操る魔物』の異名がついた。

勿論防具とて所有している。

しかし使う必要などない。

使わなくても勝てる。

それこそがメルのプライドだったのだが…。