「すごいすごい」

無邪気に手を叩くメル。

「タオルにデッキブラシにハタキに…ユーリーお兄様は、本当に掃除がお得意なんですね…」

「…こういった掃除は専門じゃないんだけどね…」

ハタキを再びしまいながら、ユーリーの視線が鋭くなる。

戦いながら誠一郎の監視など、とんだ思い上がりだ。

流石は天神学園の強者が集まるタイマントーナメント。

1回戦からとんでもない相手と当たってしまった。

余所見などしていては、命さえ危ないのではないかと思えてくる。

「すまない、生徒会長」

ユーリーはデッキブラシを構え直した。

「生徒会の案件は一時保留とする」