電話をかける。

コール音。

ややあって出たのは。

『もしもし?』

凛々しくも、どこか気の抜けた龍娘の声だった。

「あ…老師…拓斗です…お体の具合如何ですか?」

『おぉ、橘か!何だ…もう妊娠の事バレたのか』

愛弟子からの電話に、龍娘は嬉しそうな声を上げた。

『私も喜屋武の家にお泊まりに行きたかったのだがな。安静などまだ早すぎるのだ、腹すら大きくなっていないというのに。つわりもないからな、まだまだガンガン料理が食えるぞ』

豪快に笑う彼女の声に、拓斗は微笑む。

『で、どうした橘、わざわざ心配して電話をくれたのか?しっかりゴールデンウイークを楽しめばいいものを』