しかし、その一方でこうも考えていた。

龍太郎君と僕は、やっぱり住む世界からして違うんじゃないだろうかと。

努力と鍛錬の人、龍太郎。

同じ言葉は拓斗にも当てはまる。

龍太郎と同じように、負けないくらい努力も鍛錬も重ねている。

だけど…。

『龍太郎は強くなるべくしてなった人間』なのではないかと思うのだ。

だからこそ臥龍などという力も持って生まれたのではないか。

僕にはない。

恵まれた体躯も、臥龍も、才能も。

…潮時かもしれない。

拓斗は自室に戻り、誰にも気付かれないようにスマホを手に取る。