「珍しいな、お前も『持ってんのか』」

薄笑みすら浮かべたまま、男子生徒は言う。

直後。

「!?」

男子生徒の背後に現れ出でたのは、灰色の毛並みを持つ獣。

(狼?いえ狐?)

凶悪そうな精悍な面構えの複数の狐が、男子生徒の背中で牙を剥いていた。

俗に言う『狐憑き』。

彼は狐霊を己の手足のように使役しているようだった。

「とり憑かれた者同士は惹かれ合う…のかもな、ここで同じ『持ってる者同士』が遭うなんてよ…こりゃあきっと神様の導「あの」

言いかけた男子生徒の台詞に、誠一郎は口を挟む。

「うるさいよアンタ…黙れ」