何故仕掛けようとするのか、どういう目的なのか、止めるべきか否か。

様々な思考が一気にリグニアの頭を駆け巡る。

しかし何の行動も起こせないまま、その場で固まっていた彼女の脇をすり抜けて。

「上手くないな」

一人の男子生徒が誠一郎の前に歩み出た。

「……」

振り向く誠一郎。

同時に影も形を潜める。

「物には順序ってのがある…いきなり武闘派教師陣の筆頭に喧嘩を売るもんじゃない…そうだろう?1年坊主」

見下ろした視線で話す辺り、この男子生徒は上級生のようだった。