やがて彼が辿り着いたのは、校門が見える位置の校舎の陰だった。

ここから見ると、校門には派手なチャイナドレスの女性が立っている。

リグニア達のクラスの担任にして生徒指導の龍娘だ。

昼休みに生徒達が学校を抜け出さないように、あそこで見張っているらしい。

それにしてもこんな場所で何をするつもりなのか。

リグニアは距離を置いて、誠一郎の様子を見つめる。

と。

「っっっ…」

一気に全身に鳥肌が立った。

誠一郎の背後のシルエットが、蠢く。

いや、蠢くなんてものじゃない。

威嚇した猫の背中の毛が逆立つように。

誠一郎の背後の影が、刺々しく形状を変える。

不定形だったものが、見るからに攻撃的な姿へと変貌する。

その先には、見張りをしている龍娘。

(まさか…龍娘先生に仕掛けるつもりっ?)