『棗、たすけてっ!!!!』


あたしが叫んだ瞬間


翔太くんは倒れた。


そう。
翔太くんは何かに頭を強く殴られた。


あたしは怖くて足がすくんだ。


『葵!!!!』



その言葉が棗から
聞こえたのだと気付いたとき
あたしは棗の腕の中にいた。



『ふぇ
 こ…怖かった
 怖かったよぉ 泣』


あたしは棗に抱きしめられたまま
泣いた。


『もう大丈夫。
 大丈夫だから。』


あたしの泣き顔を見て
力なく笑うと
あたしの涙のあとのところに


チュッ



優しいキスを落とす。



『…ん』


あたしはそのまま意識を手放した。