乃愛を追いかけるのに
必死だったあたしは
道にあった小さい溝に
つまづき


『キャッ』


ーーやばい!ーー


そう思った次の瞬間


ぐいっ!


誰かに腕を引っ張られた。



『おい。
 お前大丈夫か?』


心配そうな声が上から降ってきた。

あたしはお礼の言葉を言おうと
顔をあげるとそこには
先ほどまで女の子に囲まれていた
棗がいた。


あたしは慌てて離れて


『ごめんなさぃ!
 大丈夫…です。』

と聞こえないくらい
小さな声でそう呟いた。