そのとき。

ギューッと後ろから
棗が抱きしめてくれた。

気付いてくれたのだろう。


『葵。お前泳げないんだろ。
 なんでこんなとこまできてんだよ。』

『い…いつのまにか
 こんなことにぃ。』

あたしは涙声で呟いた。

棗はフッと不適な笑みをこぼすと

チュッとあたしの耳に柔らかいキスを
落とした。


『……ッッ!?////』

『なんでパーカー脱ぐかなあ。
 このまま海からでると
 他のやつがお前見るじゃん。
 だから羽織っとけっつったんだよ。』

耳元で呟かれ
あたしはなにがなんだか
わかんなくなった。


『な…
 ちょっ ちょっと。
 くすぐったいょ。
 怖いし早くでたぃぃ。』


『ダメ。
 言うこと聞かなかったから
 お仕置きだな。』


そう言うと棗はあたしの首もとに
顔を近付けると口をつけた。


『…ゃぁ。
 だ…だめ。
 棗!?』