「泣いても仕方ないでしょ!?」

 勝手に私の部屋にやってきて、妹の真美は威勢よく私を叱り飛ばした。
手作りケーキまで出してもてなしてやってるっていうのに、この妹は手加減なしだ。
「そのメールの人に会ったら?どうせなら全部玉砕する気で頑張らないと。今から探すなら早い方がいいんだから。お見合いなら何件かあるし……」
「わかった、わかった」

 もう私はうんざりっていう気分で手を振った。
 真美はお母さんに似て切れ長の美人顔だ。

「ねえ、本気でプチ整形くらいしてみたら?別にお姉ちゃんだってブスじゃないよ?でもね、くよくよ顔の事で悩むなら、少しの整形はOK。実は私もちょっといじってるんだけど、気付かないでしょ?」
「え、あんたそんな事?」

 私は驚いた。
 真美の美人顔は天然だと思ってたけど、実は相当色々頑張った結果らしい。
 お化粧も相当研究してるみたいで、私の努力の無さにくらべたら真美は数倍努力しているのが分かった。

「お姉ちゃんは本当に古いよ。プチ整形ぐらい、いまどきあたりまえ。しみとりならOKで、どうして二重手術は駄目なわけ。顔を全部変えるのは無理だけどさ、そのエルっていう人に気に入られたいなら多少自分が会えるなっていう程度にしてみたら?」

 実体験済みの妹の説得には重みがあった。
 私もくよくよ顔の事で悩んでないで、もう少し努力すべきなのかもしれない。
 独りでいいやと思っていたくせに、現実的に誰もいない老後なんて想像すると結構寂しいものがある。

「整形は無理だけど、お化粧の方法とか色々教えてくれない?お洒落とか、センスとかそういうのも勉強してみるね」
 怠惰に自分磨きを怠けてきた反省をふまえて、私は妹の指導もと、少しずつお洒落センスを磨く努力をはじめた。
 もちろんエルにはそんな事は一言も報告しないで、日々の自分の生活ぶりを知らせていた。

「いつ会えるかな?」
「楽しみだな」

 急にエルは私に会いたがってきている。
 住んでる場所も実はそんなに遠くないのが分かった。
 私も「会いたくない」とは言えないし、実際本心を言えば会いたいというのが正解だ。
 だから自分磨きにも力が入る。

 輝けるだろうか……私。